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5/14国会事故調における勝俣恒久東電会長に対する参考人質疑
国会に設置された「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(いわゆる「国会事故調」)は、最終報告書の作成に向けて精力的に会議を重ねており、今月に入ってからさらにピッチが上がり、 5月14日(月) 第12回委員会 勝俣恒久東電会長 5月16日(水) 第13回委員会 松永和夫前経済産業事務次官
5月17日(木) 第14回委員会 海江田万里元経済産業大臣
5月27日(日) 枝野幸男経済産業大臣、前内閣官房長官(予定)
と連日のように参考人に対する質疑が行われています。
6月ころをめどに「報告書」を取りまとめる予定と言われているのですが、出来ればもう少しじっくりと時間をかけ、出来るだけ充実した「報告書」にしてもらいたいものだと思います。
さて、上記「国会事故調」の委員会の模様は全てインターネットで公開されており、これまでも何度か本メルマガでご紹介してきましたが、「国会事故調」専用USTREAMチャンネルがありますので、「過去のライブ」から、関心の高い回を視聴することができます。
※ 過去の委員会一覧(国会事故調・公式サイトより)
今回は、5月14日(月)に行われた第12回委員会での勝俣恒久東京電力会長に対する参考人質疑を取り上げたいと思います。
なお、この第12回委員会を喪服を着て傍聴した井戸川克隆双葉町町長に対するインタビューがOurPlanetTVによってアップされています。
OurPlanetTVの報じた当日の模様を引用します。
(引用開始)
国会事故調に東電・勝俣会長〜「当事者意識なし」あらわに
投稿者: ourplanet 投稿日時: 月, 05/14/2012 - 14:36
東京電力福島第1原発事故を検証している国会事故調査委員会(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)は14日、東電の勝俣恒久会長を参考人として招き、公開で事情聴取を行った。
事故時、東京電力のトップである勝俣会長と清水社長の双方が、本店に不在だったことに関して、勝俣会長は、清水社長が奈良県でプライベートな旅行をしていた件について、事故後に知ったと回答。また、帰国までの間、勝俣氏自身は、電源車や海水注入の検討について、詳しく聞かされていなかったとした。
事故対応については、現場の最高司令官は吉田所長といいながらも、官邸から海水注入の中止の命令があったことについて質問されると、「原子力災害本部長であり、日本の総理である菅総理から指示されるたので仕方なかった。短時間で説得できれると思った」と回答した。これに対して、蜂須賀禮子委員(大熊町商工会会長)は「東電の方には、何人もお話を聞いたが、どなたも何も責任がないかのような回答に聞こえる」と厳しく責任を追及。しかし、勝俣氏は「厳しいというか、貴重なご意見」を返ししたため、会場から失笑が漏れた。
このあと野村修也委員(弁護士)が、2004年のスマトラ沖地震を踏まえ、保安院が2006年に「想定外の津波が来れば電源喪失の恐れがある」などとする文書を、東電の上層部あてに届けたことを指摘。この文書が、東電社内の伝達がミスで経営者に届いていなかったとして、対策が出来なかったことに対して質疑が行われたが、勝俣会長は、終始「津波を想定していなかった」ことが原因と回答。「今から思えば、対策できることはあった」としながらも、「人災」の側面については否定した。
傍聴に訪れていた双葉町の井戸川町長は喪服を着用。勝俣会長の参考人招致について問われると、「本当にゆるせない。反省している言葉が安っぽく残念。避難したくても、避難できない子どもがたくさんいる。福島県内は、核実験場そのもの」と述べ、怒りをぶつけた。
(引用終わり)
事故時、東京電力のトップである勝俣会長と清水社長の双方が、本店に不在だったことに関して、勝俣会長は、清水社長が奈良県でプライベートな旅行をしていた件について、事故後に知ったと回答。また、帰国までの間、勝俣氏自身は、電源車や海水注入の検討について、詳しく聞かされていなかったとした。
事故対応については、現場の最高司令官は吉田所長といいながらも、官邸から海水注入の中止の命令があったことについて質問されると、「原子力災害本部長であり、日本の総理である菅総理から指示されるたので仕方なかった。短時間で説得できれると思った」と回答した。これに対して、蜂須賀禮子委員(大熊町商工会会長)は「東電の方には、何人もお話を聞いたが、どなたも何も責任がないかのような回答に聞こえる」と厳しく責任を追及。しかし、勝俣氏は「厳しいというか、貴重なご意見」を返ししたため、会場から失笑が漏れた。
このあと野村修也委員(弁護士)が、2004年のスマトラ沖地震を踏まえ、保安院が2006年に「想定外の津波が来れば電源喪失の恐れがある」などとする文書を、東電の上層部あてに届けたことを指摘。この文書が、東電社内の伝達がミスで経営者に届いていなかったとして、対策が出来なかったことに対して質疑が行われたが、勝俣会長は、終始「津波を想定していなかった」ことが原因と回答。「今から思えば、対策できることはあった」としながらも、「人災」の側面については否定した。
傍聴に訪れていた双葉町の井戸川町長は喪服を着用。勝俣会長の参考人招致について問われると、「本当にゆるせない。反省している言葉が安っぽく残念。避難したくても、避難できない子どもがたくさんいる。福島県内は、核実験場そのもの」と述べ、怒りをぶつけた。
(引用終わり)
最後に、この第12回委員を終えての黒川清委員長によるコメントをご紹介します。
(引用開始)
本日の第12回委員会では、東京電力取締役会長であり、電気事業連合会元会長の勝俣恒久氏に参考人としての聴取を行った。勝俣氏は東京電力のトップとして、2002年10月から社長、また、2008年2月から会長として、その経営にあたり、福島原発事故にも対応された。さらに、2005年6月 から2008年6月までの三年間、電気事
業連合会の会長を勤められた。本日は、原子力安全の当事者である東京電力ならびに電気事業連合会と原子力規制機関における原子力安全に対する取り組みの在り方と事故当時の対応について聴取した。
本日の参考人聴取では、今まで分からなかった、事故の原因に結び付く可能性のある重要な点が明らかになった。
1. 原子力事業者としての責任と当事者意識「原子力発電所の安全に関する一義的な責任は電力事業者」と述べる一方、「現場の判断を優先すべきだが、総理が対策本部長だった」と発言した。また、東京電力トップ三人が同時に留守にし、事故時初めて社長の留守を知ったこと。帰国後、本社に戻るまで連絡を取らないことなど、原子力を扱う組織としての危機感の無さが浮き彫りになった。
2. 津波に関する重要なポイント
事故の原因については、「事故については東京電力自らも検証中である」等という発言もあった一方、想定外の津波が主原因と主張していることに違和感があった。
特に、津波については、想定を超える規模で発生した場合のリスクについて、社内で会長までも伝えられていないこともわかった。勝俣会長は「そのような津波は現実に起こりえない」との判断であったことが判明した。さらに確率論的に津波のリスクを考えること、をしていなかったように思われた。
事故の原因については、「事故については東京電力自らも検証中である」等という発言もあった一方、想定外の津波が主原因と主張していることに違和感があった。
特に、津波については、想定を超える規模で発生した場合のリスクについて、社内で会長までも伝えられていないこともわかった。勝俣会長は「そのような津波は現実に起こりえない」との判断であったことが判明した。さらに確率論的に津波のリスクを考えること、をしていなかったように思われた。
3. 規制に関する点
規制の簡素化について強調されていたが、一方で事業者の自主的対応とされた耐震バックチェック、シビアアクシデント対策などの対応がなされてこなかった。簡素化の要求と先送りの関係には強い疑問を感じる。
また、一般にはあまり知られていない電気事業連合会がロビー活動の場であったということも明らかになった。
規制の簡素化について強調されていたが、一方で事業者の自主的対応とされた耐震バックチェック、シビアアクシデント対策などの対応がなされてこなかった。簡素化の要求と先送りの関係には強い疑問を感じる。
また、一般にはあまり知られていない電気事業連合会がロビー活動の場であったということも明らかになった。
4. 全体について
いま振り返ってみれば津波対策あるいはシビアアクシデント対策など、対応を講ずべき点は多かったとの言葉はあったが、具体的な点については明言を避け続けた。
今回の議論を通じて果たして原子力を担う巨大な電力会社の経営トップとしての覚悟があったかどうかは皆様が判断することだ。
いま振り返ってみれば津波対策あるいはシビアアクシデント対策など、対応を講ずべき点は多かったとの言葉はあったが、具体的な点については明言を避け続けた。
今回の議論を通じて果たして原子力を担う巨大な電力会社の経営トップとしての覚悟があったかどうかは皆様が判断することだ。
私は、原子力の安全に責任を持つというのはどういうことなのか、当事者にその理解と覚悟があるのかどうか、という視座をもって、常に確認しながら、今後も調査に臨みたい。
国会、政府においても、事故の再発防止の観点からも、国民の疑問に十分にこたえるオープンな議論をお願いしたい。
われわれ国会事故調は、政府から独立して、独自に調査を行い、最終報告書において事故の原因解明につなげる報告を6月に行うよう引き続き努力して参りたい。
われわれ国会事故調は、政府から独立して、独自に調査を行い、最終報告書において事故の原因解明につなげる報告を6月に行うよう引き続き努力して参りたい。
以上
(引用終わり)
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