2012年12月15日土曜日
九条改正が声高に語られる選挙戦に「実に愚かなことだ。日本もここまで来たか。」岩井忠正さん(92)
―――*原発廃止*―――
*即・原発を廃止しても、使用済み燃料や原子炉廃材の放射能と100万年!
*低線量被曝に関しては、ECRR(欧州放射線リスク委員会)の「2010年勧告」を基調にする。
*国家権力の横暴を許さず、主権者である国民の命と生活を守る政権の樹立を!
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12/13&14東京新聞「9条 この1票で」
いよいよ明日は第46回衆議院議員総選挙の投票日ですが、その直前の13日・14日の両日、何と一面のトップ記事で「9条 この1票で」という記事を掲載した新聞がありました。「よもや全国紙ではないだろう」と思われたあなた、残念ながら「正解」です。明確に「脱原発」を打ち出している東京新聞が、憲法9条についても「改憲阻止」の立場を明確にしたということでしょう。
投票日前に読んでいただくべきものでしょうから、緊急にご紹介します。
東京新聞 2012年12月13日 9条 この1票で<上>
改憲論 実に愚か 92歳元兵士 岩井忠正さん
http://www.tokyo-np.co.jp/article/shuin2012/all/CK2012121302000136.html
(引用開始)
憲法九条を変えるのか、守るのか。衆院選はその意思を投じる選挙でもある。「国防軍」の保持を明記する改憲を前面に打ち出す自民党、自主憲法制定をうたう日本維新の会-。今回の選挙では、改憲論がこれまでにない広がりを見せている。投票日を前に、平和憲法の根幹をなす九条の重みを考える。「実に愚かなことだと思います。日本もここまで来たか。私たちの年代の者が沈黙し過ぎたのか」。九条改正が声高に語られる選挙戦に、岩井忠正さん(92)=東京都小平市=は声を震わせる。
中学生のとき、主人公の兵士があっけなく死んでしまう「西部戦線異状なし」を読み、戦争に疑問を持った。しかし、慶応大学在学中の一九四三年、学徒出陣で海軍に。配属されたのは「伏龍」と名付けられた特攻部隊。隊員は潜水服を着て海底に潜み、機雷の付いた棒で上陸してくる敵船を突き爆死する。そんな作戦は不可能だとすぐ分かった。装備が重いため前傾姿勢になり、海面を見上げられない。「誰がこんな作戦を考えたんだ」。結局、実戦に投入されることはなかったが、訓練中の事故で大勢の仲間が死亡。岩井さんも海中で気絶し、死にかけた。「命をちりのように扱うのが軍隊なんです」 伏龍配属前に、雑談で「大和魂や軍人精神で勝てるわけがない」と口にしたとき、たしなめた男がいた。後日、「貴様がこの前言ったこと、俺もそう思っているんだ」と打ち明けられた。
「俺一人で戦争に反対したって何にもならないと思っていたが、一人じゃなかったんです。だけど、当時は意を通じて手をつなぐのは不可能だった。繰り返させないのが僕らの義務」
◇
命の重みも左右する九条改正だが、選挙戦での関心はさほど高くはない。若い世代の意見も割れる。
「GHQ(連合国軍総司令部)が草案を書いた憲法を守る必要はないのではないかとも思う。進歩も必要。九条で平和が保たれていると考えられるけど、固執しなくても保てるのでは」。靖国神社近くを歩いていた男子大学生(18)に九条改正について尋ねると、そんな答えが返ってきた。中学時代は海外で過ごしたという。一方、一緒にいた彼女(19)は「守り続けてきたものだからこそ貫くべき」と反対の立場。東京大空襲を体験した七十代の祖母から戦争の悲惨さを聞かされた。二人がこれまで過去の戦争について話し合ったことはないという。
◇
岩井さんは、戦時中に唯一行われた一九四二年の衆院選のときは二十一歳。二十五歳以上男子に投票が認められた旧憲法下では、まだ選挙権がなかった。そもそも政治への関心も薄かった。そのことを今は悔やんでいる。「若い人には、憲法は人を縛るものと思っている人が多いが、憲法は国民が国を縛るものなんです。政府をも規制する権利を持っていることに気付いてもらいたい」
(引用終わり)
東京新聞 2012年12月14日
9条 この1票で<下>
不戦の誓いに価値 東京沖縄県人会 島袋 徹さん
http://www.tokyo-np.co.jp/article/shuin2012/all/CK2012121402100010.html
(引用開始)
「あれだけ日本は戦争で犠牲を払い、二度と戦争しないという憲法九条ができた。国内向けというより『武器は持ちません』という外国に対するメッセージだ。改正は絶対反対」 東京沖縄県人会事務局長の島袋徹さん(75)=東京都東久留米市=は、改憲論が政党を超えて広がる衆院選を、もどかしい思いで見つめている。北朝鮮が選挙期間中の十二日、ミサイルを発射し沖縄上空を通過。尖閣諸島問題をめぐる日中間の緊張の現場も沖縄だ。
父親の一夫さんは沖縄県首里市(現那覇市)出身。名古屋大で学び、四十代半ばだった一九四一年に沖縄に戻り病院を開業したが、三年ちょっとで空襲で全焼。その後軍医として働き、沖縄戦で戦死した。 疎開先の大分市内で食堂を開き、女手一つで徹さんら七人のきょうだいを育てた母親園子さんは、口癖のように「憲法は守るんだよ」「選挙は棄権しちゃだめ」と話していたという。
米軍の新型輸送機オスプレイの普天間飛行場への配備では国会前で抗議活動をするなど、沖縄出身者らは東京でも怒りの声を上げ始めている。「改憲で日米の軍事同盟関係が強まれば、追随する形で日本が戦争に加担する恐れだってある」。その前線もまた、基地が集中する沖縄だ。
◇
衆院選を通じ大きな論争にならない改憲問題。その要因を、米国出身の映画監督で早稲田大教授のジャン・ユンカーマンさん(60)は「現在の日本には軍事的な文化がない。戦場で人を殺すことを想像できないから、強い反対もないのでは」とみる。 六〇年代、ベトナム戦争に突き進む米国の姿勢に疑問を感じ、日本に留学。二〇〇五年にドキュメンタリー映画「日本国憲法」を製作した。世界の知識人に平和憲法の価値を聞いて回った。
現在、世論調査では九条改定の賛否が拮抗(きっこう)する。米国の占領下で生まれた平和憲法。日本人にとって自らつかみ取ったとの意識は薄く、空気のように隣にあった。「改憲が議論なく進むのは怖い。憲法は民主主義の結晶で、社会の心臓。もっと慎重に話し合ってほしい」 学徒出陣の経験を持つ政治学者、石田雄(たけし)東大名誉教授(89)=東京都文京区=も「憲法九条が戦力の保持や交戦権を認めなかったから、自衛隊は海外で誰も殺していない」と、その価値をあらためて強調する。
今回の選挙結果で改憲勢力が多数になったとしても、改憲を白紙委任したとは考えていない。石田さんが選挙後も希望をつなぐのは首相官邸前の脱原発や反貧困のデモ。「生活に根差した個人の運動で、選ばれた議員に『次の選挙は危ないぞ』と圧力をかけられる。かつてのように国会を物理的に占拠するのでなく、心理的に包囲するんです。憲法改正までの手順を踏ませず、最後は国民投票でノーと言えるようにしなくては」 (橋本誠、上條憲也、加藤文、栗田晃が担当しました)
(引用終わり)
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